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2021-04-19

身分帳

2021年4月19日(月)

夜中、『身分帳』読了。

少し前に読もうとしたら¥30000を越える値段がついていてどうしようもなかったのだが、今年になって文庫版で再販される事になったようで、邑南町の図書館も購入してくれていた。

 

人生の大半を獄中で過ごした男は、出所後は真っ当に暮らし人生の再スタートを図るのだが。映画も早くみたい。けど、既に観てきたというT先輩からの話では「終わってから、ちょっと立ち上がれんかった」ほどという。

 

本の方もきっと負けていない、かなりの読後感がある。

 

文庫版になるにあたって追加されたという「行路病死人」の話は、そこは俺は心底「もうやめてくれ」と思いながら読んだ。

 

映画や本の良さの1つに、間違いなく「終わってくれる」という事があると思う。

ハッピーエンドだろうがバッドエンドだろうが、最後にはエンドロールが流れ、本は閉じる。

もちろん中には俺のココロの中にずっと棲み着いているような人物やストーリーもあるが、しかしそれはあくまで「その物語の中の話」。

 

しかしこの『身分帳』は、なにか終わりという区切りをつけることが出来ない。俺には全く関係のない話だが、でも今もすぐそこに同じ世界があって俺も同じように生きてしまっていている。

生きるではなく、「生きてしまっている」。

 

人生を少しでもイイものにしなければならないという俺の貧乏性は、自由なようで実はがんじがらめに囚われているようなもんだなぁ。

 

 

夜中、長女と高校卒業後についての話。

「なんにもわからない」という長女だが、そりゃそうだろう。

小学校から高校までずっと同じ顔ぶれ。みんな似たような感覚で、切磋琢磨する事はほぼ無かった。

かといって甲子園に出たり、バッタバッタとベテラン棋士を倒したり、Youtubeで自分の曲を披露したり、そんなメディアで見かける「スーパー高校生」はあまり参考にはならない。

何を目指したらイイか、指針になるような存在も見当たらん。しかし案外と時間は早くに進んで行くもんだ。

 

父親としては、「何になるか」はまだまだこれからもっと先に決めて行けば良いが、「どんな人間になりたいか」はぼんやりとでもあった方がイイと思う。

君の名前には「他よりも抜きん出ている」とか「立派だ」とかいう意味もあるが、我々両親はそれよりも「温和で、思いやりのある人になって欲しい」と願って名付けた。

 

知見を広めるのは、「優しさを身につける」ため。

世の中の差別や偏見の多くは、勘違いや相互の理解不足からじゃないかと思っている。

まだまだ世の中は平等というには程遠いかもしれないが、君の時代にはもっと「すばらしき世界」になるように、他人事ではなく自分が積極的に世界を好転させていって欲しいと思う。

 

そのためにも、今よりもっと広い世界を感じて欲しい。

君の指針に成れていなくて申し訳ないが、パパはどうやらどんどん世界が小さくなってきてしまっているようだ。

 

刑務所から見る空は狭いらしいが、この山にぐるっと囲まれた邑南町の空も似たようなものだ。

どうか小さくまとまる事のないように、君なりのチャレンジを続けてくれる事を願うよ。

 

カミサン的には「は?何いってんの?」らしいけど。

 

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