新年パツイチ
2023年1月6日(金)
夜。
明日から仕事だ、早く寝よう。と思いながら夕食の片付けをしていた。
受験生である次女は今夜はまだもう少し勉強するという。「パパ、『ワクワクルーム』で勉強してもイイ?」
エアコンの無い次女の部屋は、集中してお勉強するのには酷。そりゃあどうぞどうぞ、店の個室で思う存分に勉強してくれ。と、暖房もいれてカフェラテも作って持っていった。
で、片付けも終わった21時半。
相変わらずのベロンベロンのS社長から電話がかかってきて「マスタ〜、ちょっと1杯だけのませてぇ〜」と、週2レベルの新年のご挨拶。
そういえば年末年始に散財しちゃったな・・・。ココはそれを取り戻さなければと、どうぞどうぞとそこからお店を開けた。
これが新年1発目の営業か・・・と、なんだか験が悪いような気もしたが「マスターも一緒に飲もうよ!」と言われて乾杯。
けっこう嬉しい事もあったようで上機嫌なS社長。そりゃあ良うござんしたねぇと、太鼓叩きながらメイクメイクマネー(ハイボール、ガブガブ飲み)。
良きタイミングを見計らい、「そろそろ、橋田さん(タクシー屋さん)に電話しますね〜」とお迎えをお願いし、S社長にはトイレに行っておいてもらった。
俺もちょっとでも片付けをしておこうと、キッチンへ行きカウンターには誰もいない。
・・・それが悪かった。
S社長はそのベロンベロンの酔いに任せ、「おじちゃんは数学が得意だから、ちょっと教えてあげるわ〜」と、次女が勉強しているワクワクルームに突入して講釈たれてやがる。
ふざけんなよ、一線越えてるぞ。
ちょうどタクシーが来てくれたのだが、「今度おじちゃんがギター買っちゃろう。おじちゃんもギター弾けるんだぞう」などと言ってなかなか部屋から出たがらない。が、さすがに腕引っ張って玄関まで連れ出して、そのままタクシーに押し込んだ。
大反省。
次女に「すまんかった」とおかわりのカフェラテ持って謝りに行ったのだが、「全然大丈夫よ〜。欲しいギターはLINEで送っておきますわ〜」とあっけらかんとしたものだった。
昔この店はオフクロが「ママ」として営業しているスナック。俺と妹は、酔っ払いのカラオケを聴かされながら大きくなった。
原始人にアルコール摂取させたかのようなあまりに下品で卑なその環境では、将来もなにも無い、ただ今日が楽しければイイという刹那があるだけ。
原始人のジジイたちは小学生の俺を見つければ面白がってビールを飲ませたし、妹にはカラオケで小林明子の『恋に落ちて』を歌わせた。
幼い俺も妹も、たぶん夜くらいは母親と過ごしたかっただろうと思うが、時間が来るとじいちゃんとばあちゃんの家に帰っていくしかなかった。
ただそこですら、じいちゃんが酷い酒乱。ばあちゃんへの聞くに耐えない言葉の暴力があった。
毎日が、どこへ行っても酔っ払いから逃れられない地獄の小学生時代だった。
だから俺は本当に酔っ払いが大嫌い。しかも中でも、子供にイヤな思いさせるような酔っ払いは本当にクズだと思っている。酔っ払ってもかまわんが、迷惑をかけるのは「明日の自分」だけにしとけ。
S社長なんてその頃の原始人たちに比べたら全然「紳士」なんだけど、軽いフラッシュバックが来てしまい、そこから更に追いハイボールしてしまった。
ただ去年までと違うのは、俺はもうこの「被害者意識」は止めた。
次女が「よゆー」と言ってくれているんだから、もうそこで話は終わり。俺が今後「すいません、今日は終わりにしました」と、S社長にお断りを伝えれば済む話だ。
オフクロもじいちゃんも、自分なりに頑張ってくれていたはず。
恨むより、感謝しながら生きた方がイイ。
朝。
ギリギリまで寝てしまったが、しかし今日は喫茶とおりみちの初日。気合入れすぎず、かと言ってダラダラもせず。平常心で行こう。
ランチ。本日はスタッフ5人全員集合。
13時。店内はビシッと満席、誠にありがとうございます。
今年1年の営業を占う大事な営業の日とも思いつつ、「いや、落合監督ならむしろココを捨てるのか・・・?」などと思いながら、あまり現場には出ないようにした。
夜は落ち着いた感じ。
しかし、テイクアウトのご注文があり助かった。
「withコロナ」というダサいキャッチコピーはさておき、今年は更にテイクアウトに対して新たなチャレンジをしたい。
みんなが「そろそろ飲みに出てもエエやろ?」と思い始めただろうこの時、飲食店もそういったニーズに応えようと肩を回している時、そのスキマをついて新しい「とおりみちのテイクアウト」をやりたい。
欲しいと思ったそのお瞬間に最低限のモノすら手に入らないこの山奥で「今日は晩ごはん作りたくない!」というママさんたちのお役に立つために、出来ることはまだまだあるはずだろう。
それに、もうあのころの原始人はほぼ死んだ。
夜の営業、特にアルコールに頼った売上は、二度と再現出来ん。
先日の広島での忘年会、二次会への移動中。俺らが若い頃の広島って、もっと「歩くのもやっと」だったのに。
とにかく新しい営業のカタチを始めなければと、あの忘年会の後からけっこうヒリヒリしている。
営業後。
お昼、T先輩から貸していただいたブツを拝読。達人が、さらに本気出して「モノづくり」するというのはこういう事なのか・・・。ちょっと井上先生について勘違いしてたかも。むちゃくちゃ真剣に取り組んでいらっしゃる。
お昼にT先輩とも話したが、結局は「想い」だ。
かつてのひどい暮らしを思えば、去年も素晴らしい1年だった。だが、さらに「今年は良い1年だったね」とカミサンと言い合えるような1年にしたい。
さて、満足な年始のスタートでございました。
我が家とお店のスタッフと、そして当店にお越しいただいているすべてのお客様に幸多き1年になりますよう、ワタクシことマスターも精一杯がんばって行こうと思います。
今年もどうぞご贔屓に。よろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶。