わかってるツラ
2022年11月1日(火)
「どれほど共感できるか?」
派手なカクテルの技術や珍しいウィスキーのストック、そんなモノはどうとでもなる。それよりも、今カウンターの向こうのお客様の感情にどれほど寄り添うことが出来るか?
20年くらい前はそんな事を、仕事終わりの焼き鳥屋さんで神戸の元町バーテンダー達と毎夜語り合ったものだった。
「だったらその『人の感情』というものをちゃんと学ぼう」と、それ以来、映画や本に徐々にのめり込むようになっていき、それ以降、映画や本は俺が人の感情を勉強するための教材に変わったように思う。
けっこう、誰にでも共感できるようになったつもりでいたんだけどな。
朝5時半。みんなの朝食と長女の弁当作り。
三女は今日も学校に行きたくない日。
クルマで小学校まで送るその20分は、「何かテンションの上がる曲を聴こう!」なんつって、三女からのリクエストVaundyやら松たか子やらをかけてご機嫌を伺う。
全然元気は出ないようだが、でもなんとか学校には行けた。
ランチ。
満席御礼ありがとうございました。
今日は休憩なはし。今日は夕方に大量のテイクアウトのご注文をいただいたので。
こういう日の三女の市木小学校までのお迎え往復40分は、少しきつい。
夜営業。
今夜のお客様は自営業の方々ばかりで、しかもみんな子育て中。大変よね、ほんとね。
営業終了後、お弁当の仕込み。
唐揚げは出来たので、あとは味玉も仕込んだ。煮玉子があれば、なんとか絵になる。
リビングに戻ると三女が算数をしていた。
明日テストがあるというので、じゃあ問題出すわと模擬試験。分数の足し算引き算。
けっこう間違っている。通分や最小公倍数については理解出来ているのだが、ひっ算のところでミスが多い。
小学校3年生で出来る計算が出来ない。
確かにその時期、三女は学校に行けなかった。とはいえ、ひっ算が出来なきゃ暗算も難しい。なんとか出来るようになって欲しい。
と、少し焦ってしまった。
漢検の時と違い、ふてくされる三女。
ふてくされてどうすんだよ、悔しくないのか?こんなミスして、と、ついポロっと言ってしまった。
三女は、
「悔しいのはパパの方でしょ?」
「こんなに教えてもわからないから『パパが悔しい』んでしょ?」
と。
朝食も、弁当も、送迎も、勉強も。
言われてみれば、確かに全て俺のエゴであり見栄であり自己満足であり強迫観念である。
「娘たちのため」などと言いながら、結局は己が「善き父親」であるがための偽善。
三女が言う通り。何も言い返すことはない、今日の勉強はここで終わり。
今後の漢字も算数も、見てやれる自信はない。三女に共感してやれてるつもりでいたのが情けない。
洗濯物は干した。
それが、精一杯。