あの頃は谷繁が怖くて行けなかったが
2015年12月9日(水)
朝、クルマのフロントガラスが凍っているほどには寒いが、昼前になれば穏やかな陽気。
また秋が来たような景色で得した気分。
神戸時代の先輩にお誕生日のお祝いのご挨拶を送ると、先輩から「早いもんやね・・・」と返信が。15年前、ずいぶんご一緒させていただいた先輩だ。その頃といえばまだ俺が神戸で自分のお店を開いている時で、辺りのカフェやバーやホテルマンの連中と、仕事が終わればみんなでどこかに集まり酔っ払う、というような日々(365日)だった。
あの時の仲間といえば、今はみんな出世したり自分のお店を持ったりしてはいるが、当時は20〜26歳くらいのガキんちょで。飲んでいる場でもみんな自分の仕事の話に夢中になり、同業者であるからたまには熱くなりすぎてケンカになることもしょっちゅうだった。
東京に行ってからは部下はたくさんできたが、神戸時代のように仕事論を語り合えるような事はあまりなかった。それでも仕事仲間はたくさんいて、彼らの存在もやはりモチベーションのひとつではあったが。
そして島根に戻ってからというとそれは皆無で、商売人のムスコたちの集まりというのはあったりするが、それは当時の俺達のような「絶対に飲食業界で成功してやるんだ」という暑苦しいほどのエネルギーはなく、特に飲食の仕事をしている人間に至っては全く話が噛み合わず、なんとなく寂しいような気持ちでもあった。「夢を追う」のと「生き残る」は別物であるから、それはそれで仕方ないのだというのは最近になってようやく理解はできるのだけれども。
それがこの夏、ウチの看板をリニューアルしてくれたDesignOfficeSukimonoさんに出会えた事で、島根県内で色々な飲食業の知り合いができた。特に江津市や大田市のみなさんの頑張っている姿は、東京から島根に戻って「あ〜、島根に帰って来ちゃって、俺もう終わってしまったんかなぁ」とスネていた自分が情けなくなったほど。以来、夜のお客様がみなさんほぼ江津からのご来店という事もしばしば。
本日も、ランチタイムにその江津から同じ飲食業のお客様がご来店くださる。ウチのチラシを見てくれたとおっしゃってくれたが、そのチラシの置いてあるという江津のお店は俺の知らないお店。どうやらsukimonoさんが、いろんな所に紹介してくれているようだ。そして今日来ていただいた海人さんもウチのチラシを置いていただけると言う。本当にありがたい。
しかしこれでは筋が通らない。ウチのお店のチラシを置いていただくのなら、ちゃんと俺がお店に伺って挨拶してからお願いせねばならんのに。おくればせながら今月中にお邪魔しますとお約束。
お話を聞くうちに、「え!?」というような繋がりも聞けたりして楽しかった。年末、江津の町をウロウロしてみようと思う。この感覚は久しぶりで胸が踊るわ。
ここ何年か歳を重ねるに連れ「俺って何が好きなんだっけ?」と、映画?落語?バイクか?音楽か?などと自問自答の日々だったが、いやいや何を言っているんだ。俺は何を置いてもこの飲食業が大好きだ。
先輩、誕生日おめでとうございます。俺があの頃自分のお店潰しちゃって、自信も失ってそれでもこの業界に戻って来れた時、「飲食に戻ってくれて嬉しいよ」と言ってくれたの忘れられません。あの一言があったから不安ながらも再びやってこれた気がします。先輩もこれからも元気で頑張ってくださいね。