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2016-02-04

7000

2016年2月4日(木)

本日、7000枚目のピザを焼いた。
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焼き始めて5年4ヶ月、ピザの出数のペースは年々上がってきている。この邑南町が出来る前、ここは石見町と呼ばれたが確か人口は7000人くらいの町だったはず、かつての石見町の人がみんな食べてくれたくらいの計算かと思うと感慨深い。
これまでとおりみちをご利用頂いた全てのお客様に感謝感謝だ。

しかし全然満足いかない。もっともっと忙しくなりたい。カミサンは「そんなに頑張らないで。看板も作れた、お庭も直せた。お店は上手く行ってるじゃない。それにあなたにしんどい思いをさせたくないのよ」と言ってくれるが、もちろん俺は心配をかけたいわけでもないし、むしろ欲しいのはもっと発破をかけてくれるような応援だ。

今日の読書『山本周五郎短編集おごそかな渇き』『ストーナー』。
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ともに「なんともない」話。本当になんともない庶民のある時間を切り取り、訥々と語られる。

『ストーナー』は1965年に出版、『おごそかな渇き』には1942〜67年に出された短編がまとめられている。山本周五郎は言うまでもなく、ジョン・ウィリアムズの一市民を見る目と表現には揺さぶられずにいられない。名も無き人にも自分に与えられた使命を果たすという気概があり、為す事の大小には差異はなく非凡も平凡も関係ない。

ついついお店の規模を大きくしたいとか、派手に商売を広げたいという邪な考えに囚われる。たしかに現実を見ると俺はちっぽけな田舎の喫茶店のマスターで、それはハタチの頃に夢見た将来の自分とは大きな開きがあり、そしてあの頃「絶対あんな風な中年にはなりたくない」と思ったまさにそんなオッサンになっている。

この現実に向き合うのが辛くて逃げ出したくて、そんな大きな商売の事を考えてしまう。しかしここには大きな矛盾があって、そんな俺が「ちっぽけ」と見下すこのとおりみちすら繁盛店に出来てないくせに、その先なんてあるはずがない。

この2冊の登場人物たち。ここに描かれてある人々はけっしてそんな情けない事で悩まない。ありもしないような未来を夢見て寝言ばかり言うよううなマネはしない。ただひたすらに自分の人生に責任を持っている。

だいたい俺がこんなマヌケな事ばかり考えていると、「その日の天使」が素晴らしい本を教えてくれる。ここ最近のモヤモヤとした鬱憤が、この2冊でいっぺんに吹き飛ぶようだ。

アホな事ばかり考えていないで、今日はただ7000枚を食べて頂いたことに感謝しようと思う。


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