農家のいちマスター
2021年5月9日(日)
『タタール人の砂漠』は借りれなかったが、何気なしに借りたコレがすごく面白い。
『妄想する脳 思考する手』
科学技術の最先端、しかもそれを現場レベルでやっていらっしゃる先生が語るそれは、「そんなもんやったって何になるの?」と言われてきた全ての苦労人への救いの言葉。
「わかってもらえなくても、それを最短距離で説得すべき」というのも全くそのとおり。「わかってもらえんでもいいや」という甘えは自分の進化を止める事になる。
時間の過ぎゆく残酷さを教えてくれるのが『タタール人〜』だが、『妄想する頭〜』はそれの1つのアンサー本だ。
文学にはないタイプの冷水ぶっかけられた感覚になった(文学の方が冷水ぶっかけてくる)。
本を読みながら明日の準備。
カミサンが「朝はワタシがやるから、マスターはもう寝て!」というので、せめてもと思い、店の仕込みしながら子供の朝食準備。お弁当と、そして送りの作業はカミサンに任せた。
朝。
オフクロがお店にやってきて「田んぼに除草剤をやって欲しいのよ」。
除草剤には「タイミング」というものがあるらしい。除草剤をまいてりゃ雑草が生えないんじゃなくて、それ相当の時期で散布するというタイミングが大切(らしい)だ。
俺は稲作の事はわからんが、わからんなりに勉強もした上で今日は「ん〜、ウチの田んぼはタイミング的にはまだ早いかな〜」とは思ったのだが。
思ったが。
しかし、我が家の稲作は「オフクロの思いを成す」のがメインの作業。
収穫とか利益とかは2の次3の次。
どちらのおうちも多分一緒。
科学ではない、「先代の思い」をこなすのがここいらの農業の大事な仕事らしい。ここらの稲作が「産業」になれないのはそういうところだ。
朝飯もソコソコ、カミサンとふたりで田んぼへ。それにしてもカミサンのこのあたりの理解の深さ。科学でも産業でもなく、「文化」というものへの愛がある。
このあたりの優しさこそが俺の自慢のカミサンだ。
オフクロから託された除草剤、俺は大きい方の田んぼに、カミサンは小さい方へ撒きに行った。
そもそも俺が全部やろうと思っていたのだが、カミサンが「二人でやった方がラクでしょ?」と半分請け負ってくれた。
たしかにさほど難しい作業ではない。カミサンがそう言ってくれるなら、ランチまで時間もないし、ありがたい。よろしくおねがいします。
ポイポイやっていると、「マスター、除草剤するのまだちょっと早くない?」除草剤を散布中、俺が最も信頼しているオジサンが助言してくれる。
そうなんですよ。たぶん早いんですけど、オフクロはこのタイミングらしくって。
俺が「きっと早いんだろうけど、これがオフクロの思うタイミングらしくって〜」と言うと、オジサンは「なるほどな〜。わかる、わかるよ」と、ミーシャばりに包み込むような優しさで納得してくれた。まじミーシャ。
カミサンの方でも、向こうの田んぼので同じような事が起きてるのか、見知っているオジサンと何か話し合いながら除草剤をまいているようだった。
でも、そのオジサンにクワとか持ってきてもらって色々やってもらってるみたい。ん?土を運んでる・・・?
それからランチ。
満席にはならないが、ほどよき忙しさ。
GWも過ぎたし、それに外食する雰囲気でもない。こんな島根でもコロナもあるし、ヒマなくらいがちょうどイイかもね。
が、13時半ころから急に満席御礼。
常連様がみんな「忙しい時間を外して来たのよ〜」って来てくれて、「思いやり満席」が発生。でも、みんなで時間ずらしたらダメじゃん?
満席だしお待たせするしでお客様には申し訳ない、しかしこんな嬉しい事はないぜ。
今日もバッチリ流行って最高のランチ営業だった。
ピザもパスタも仕込んだ分は売り切ったので、夜はお休みにさせてもらった。
アルバイトのえっちゃんもエリカちゃんも残って、スタッフみんなでマシュマロを焼いて食べた。火をおこしてみんなで囲んで、それでマシュマロ焼いて食べるのは楽しいものだ。俺はモヒートを飲んだりした。
そして今日は母の日という事で、オフクロも来てそのままBBQ。
みんなで楽しくお話ししながら夕食となった。
あれ、そういえば、カミサンに任せた田んぼの方でもオジサンに何か言われていたようだったが、あれはいったい・・・?
「あ〜、あれねぇ〜」
俺と同じように何かアドバイス的なものをもらったのだろうか。
「似た田んぼに除草剤まいた」
なるほど〜すごい〜〜、っていうか、とんでもない〜
急いで止めに来てくれたオジサンには感謝しかありません。明日、ピザでも持っていこうと思います。