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2020-03-28

ワタシシアワセ〜

前回までのあらすじ

せっかく我が邑南町に千鳥の『相席食堂』がロケに来てたというのに、その撮影場所に「喫茶とおりみち」が選ばれなかった事に腹を立てたマスターは、また勝手な被害妄想をこじらせつつあったのだった・・・。

2020年3月28日(土)

今日は土曜日で忙しくなりそうなのだが、アルバイトのえっちゃんは来れるか来れないか微妙な感じ。だもんで、早起きして仕込みやお掃除。

まだまだ子供さんが小さいえっちゃんは「土曜日もできるだけ来ます!」と言ってくれているのだが、俺の方から「いや、子供さんを優先にして欲しい」と伝えてある。

俺自身が「飲食店の子供」だったからよくわかる、自分が休みの日に親が構ってくれないのは寂しい。えっちゃんは我々夫婦にとってもはや妹のようなもの。つまりその子供たちは甥っ子なわけで、甥っ子にそんな寂しい思いをさせたくはない。

えっちゃんのためというより、子供さんたちの健やかな成長のため。子育てはやり直しが効かんから。

掃除しながら改装中の庭を眺める。

はぁ〜〜、全然工事が進んでいない・・・。

店内の改装中はなんとかやれていたのだが、いざリニューアルしてみると全く手が回らない。どうしたもんかいのぉ〜

イヤホンで『ボージャック・ホースマン』を聴きながら仕事。NETFLIXのアニメだが、すこぶる良い&非常に良い。画面は観ずとも、シーズン2まで観ていたら音声だけでも十分楽しめるようになる。つまりは脚本が素晴らしいんだろうな。

現代人の抱える(というか主に俺が抱える)闇みたいなもんがありとあらゆるところに散りばめられ、この主人公のアルコール依存症でドラッグ依存症でうつ病の「馬」(本当に馬)に感情移入せざるを得ない。したくないのに。

周りはみんなイイ奴なのに、この馬ときたらホントにもう・・・。マジで俺みたいなやつだ、とか思っていたらシーズン3でとんでもない事になってもう取り返しがつかない。どうすんだよ、ボージャック・ホースマン?

で、あっという間に10時半。やばい、仕込みが追いついてないぞ。ボージャック聴いてしんみりしている場合ではない。こりゃあ今日は良くない感じになりそうだ・・・。

と思っていたらナントえっちゃんが登場!

来てくれた!ありがとう! 「子育ては〜」とか言ってカッコつけてましたけど、やっぱ来てくれると嬉し〜〜〜い! えっちゃんは「今日は主人が子どもたちと遊んでくれると言ってくれたので!」、ご主人さんもありがとう〜!

というわけで忙しいランチもスーパースムーズに営業。えっちゃん的には「あれ?土曜日なのにあまり忙しくなりませんでしたか?」と言っていたが、それはね、アナタがいてくれたおかげなのだよ。えっちゃんはウチが忙しくなってから働きに来てくれたからわからんかもだけど、以前は今日のこの半分の売上でもシッチャカメッチャカ、離婚寸前の大喧嘩するくらいだったんだから。

ボージャック・ホースマンのおかげか、今日は少しばかり自分を客観的に見れた気がする。冷静になって周りを見渡せば、色んな人に助けられている事がわかる。えっちゃんやら、カミサンやら、そして最近お会いしてない常連様みなさんの顔が浮かんだ。みんな、会いたいわ。

今日は休憩は無し。夕方にテイクアウトのご注文をたくさん頂いていたので、仕込みでフル稼働。ただ、全然疲れていない。もちろん、えっちゃんのおかげで。

え〜、ちなみにですが、あの相◯食堂とかいう番組に出ていた幾つかの飲食店がありましたが、そのどれよりも売り上げた自信はありますね(キッパリ)。

夜、ヒマ!ぎゃふん!ナマ言ってすんませんでした!

夕方に後輩のショウが来てくれて「先日は夜おそくまで非常に申し訳ありませんでした!」とピザなど諸々をテイクアウトしていってくれた。きっと気を使ってくれての事だろうけど、俺にはイイからその分後輩に回してやってくれ。でも、ありがとう。また飲もうや。

仕事終わって三女とお風呂。

「ぱぁぱ〜、昨日お風呂入ったの〜?」、昨日?覚えてないけどお酒も飲んでもないし、入ったと思うよ。でもなんで?

「だってワタシ、おばあちゃんのお家にお泊りしたから一緒に入らなかったでしょ〜」、あぁそうか。

「ワタシ、超シアワセよね〜。9時過ぎたらテレビ観ちゃダメだけど、おばあちゃんのお家なら観てイイし」。それは治外法権っていうんだけど、自分で適用するもんじゃないんだぞ。

「いつでも美味しいジュースが飲めるし、畑には野菜もあるし」「島根ってサイコーよね〜」

その後もいろいろと自分のシアワセを教えてくれる三女。親としてはこんなに有り難い事はない。頑張って働いて、それで娘が「シアワセよぉ〜」と言ってくれるんだもの。これ以上はないよ。俺もオフクロにこんな事言ってやりたかった。

何かに付けて悪い方へ悪い方へと考えてしまう「思考のクセ」みたいなものに取り憑かれている俺だが、三女の話を聞いているとそれだけで道を正してくれる。俺が娘にしてやらなければならない事を、「ぱぁぱ〜、コレってシアワセよね〜」と教えてくれる。

お風呂上がりに家族みんなでストレッチ。相変わらずの俺と次女のカラダの固さだが、みんなでやればその「ダメさ」が面白い。俺と次女の「痛い〜!やめて〜〜!」で今日の終わりは家族みんなで大笑いとなりました。

明日になんの不安もない。瞬間瞬間に全力を尽くせれば、もうそれだけで十分。やっと抜けれたような気がする。今回も長い暗闇だったが、おかげさまで乗り切りました。

もう無意味な被害妄想はコリゴリ。相席◯堂には出れなかったけど、全国放送のその前に、この邑南町のみなさんに愛されるようなお店にならんとなと、再びフンドシを締め直す所存であります。

そして風呂では三女が「それから、家族が増えるのもシアワセ〜」。は?どういう事?

おい、この不良猫!そこに愛はあったんだろうな!

ん〜〜〜!シアワセだけど、心配事も増えるんだってば〜〜〜!


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