足元みてみ?

   

2019年5月17日(金)

なかなか寝付けなかった昨夜。昨日の夕方にお客様とお話した、この町が勧める「A級グルメ」というモノについて考えてしまった。

 

仮に、身内に18歳の若者がいるとしよう。「自分はプロ野球選手になるんだ!」と言って野球以外の全てを投げ出したらどうするか?「アイドルになって武道館を満員にする!」と言って高校を辞めると言い出したらどうするだろうか?

多くは「それはやめておけ」、もしくは今すぐの説得は諦めて、「とりあえずちゃんと学校を卒業してから・・・」くらいは言うんじゃないだろうか。

 

では「料理人になる!」の場合は?

「まぁ、それならなれるんじゃないかな・・・?」みたいな感じだろうか。

実際はそんなに甘いものじゃあない。料理の世界もプロ野球やアイドルと変わらないくらいの生存競争がある。高みを目指せば目指すほどに、非常に厳しい現実が待っている。どの業界も同じなんだろうけど。

 

俺がここまで飲食業界でやってきた体感でいうと、現在の俺の年齢42歳なら、経済的成功者は1000人に1人いるかいないか。自分の腕一本だけで「なんとか」家族を養えるってのも、500人に1人くらいじゃないだろうか。みんな共働き、もしくは自分が食っていくので精一杯。

しかし経済はまだイイ方で、調理に真剣に取り組めば取り組むほどに、「調理技術で勝負」したくなる。つまり、さきほどの経済的成功ではなく、「文化的な成功」を目指すわけだ。野球でいえば、地元の高校で4番でエースでキャプテンをやってた人間が「俺は野球が上手なんだから、メジャーリーグを目指す!」と言い出したとすれば分かりやすいか。

 

さて、そこで「A級グルメ」だ。

毎年「よ〜し、ここで腕を磨いて料理の世界で成功してやるぞ〜!」という若者が邑南町にやってきている。

残念ながら、君たちにその目は無い。

なぜかは説明するまでも無い。もし本当に「そんな事ない!自分はここでステップアップして『A級の料理人』になる!」と思っているのなら、「嘘つけ」で終わりだ。

 

しかし問題は君たちではない。料理の世界で頑張ろうとしている若者を言葉巧みに連れてきて、そしてボロ雑巾のように使い捨てる「実は飲食業界をバカにしている」悪い大人こそが問題だ。

そして俺もまたこの町に住んでいるのに「じゃあ彼らをどうしてやったらイイのか?」と悩むだけで何もしていない、「悪い大人」の1人なわけだ。

 

俺は飲食業の「文化的」なところからは「降りた」人間だ。その「降りた人間」が彼ら彼女らに何をしてやれるのか・・・。と、考え込んでしまった。何もしてやれないくせにね。

 

学校から帰った三女はランドセルを放り投げ、いつものように畑へ向かい「今日が食べ頃の食材」を収穫する。

本日三女が選んだのは「今日は豆〜」三女が収穫したえんどう豆を茹でさせられて、これが今日のおやつなんだってさ。

けっこう贅沢な事だな。

 

夜、お仕事終わりに次女がケーキを焼いた。チョコレートケーキ。「100万点!」と自画自賛の次女。「これ食べたら○ーになっちゃう!」と、例のアレの〇〇〇〇を。

 

経済的成功も、文化的成功も、俺には伝える言葉は無い。

ただ「等身大で飲食業で生きていく方法」ならば、もしかしたらヒントくらいはあるかもしれない。「喫茶店を家族で楽しくやる方法」とかなら。

 

同業の若者が苦しむのはもうコリゴリ。何も出来ないかもしれんけど、「とおりみち」がセーフティネットみたいなものになれたらイイと願う。

 


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