鯉のぼりは無い
2016年4月13日(水)
釣り銭用の小銭をキッチンに置いておいたところ、それが4歳の三女の目に止まり、三女はその小銭をとっていった。それは決して「盗む」という事ではなく、彼女にとってはそのコインはおもちゃのひとつの様なものだろう。
一瞬とはいえ、無造作にお金を置いた我々夫婦に問題があるのだが、それでも親としては捨て置くわけにもいかず、三女は「警察に連れて行く」とカミサンから相当なカミナリを喰らったらしい。
俺はその場にはいなかったのでどんな風に叱られたのかは知らないのだが、けっこうションボリするレベルで叱られたらしい。それが昨夜の話。
30分もすればすっかり元気になる三女であるから、今朝保育園に行く時にはなんともない様子だった。しかし送っていく車中、三女が残念そうに「ぱぁぱ〜、男の子のお家はイイよねぇ〜」と言う。ワケを訊くと「男の子のお家にはぁ〜、鯉のぼりがあるでしょお〜」だそうだ。保育園に向かう道中、何軒かのお宅には立派な鯉のぼりが泳いでいる。あぁ、俺も小さい頃は毎年爺ちゃんが出してくれてたなぁ。昔はこの辺りにももっともっとたくさん泳いでいるように記憶している。
我が家の子供たちは三姉妹であるから、彼女たちがお家で鯉のぼりを見ることは無い。近所にも男の子はいないので、家からの景色に鯉のぼりは無いなぁ。俺が「すーちゃん達にはステキなお雛様があるでしょ。だから鯉のぼりは無くてもイイんじゃないの?」というと、三女は「そうよねぇ〜、お金も無いしねぇ〜」とまるで父親の甲斐性のなさをさげすむような発言。カミサン、昨日はどんな感じでお説教しちゃったのかな?
「いや、あのね、すーちゃん。そういう事じゃなくてね」と説明しようとしたが、すでに保育園に到着。そのまま走って行ってしまった。捕まえようとしたところ、なんと今日は俺が三女の保育園バッグを丸ごと忘れてきてしまっているではないか。連日連日、なんなんだ。先生に「すぐに取りに帰ってきます」と伝え、急いで保育園に戻ると、三女、先生の説得を無視して教室には入らず、玄関前で悲しげな雰囲気をまとい立って俺を待っていた。
完全に、貧しい悲劇のヒロイン気取り。離れた場所からでもコイツの脳内ストーリーが伝わってくる。玄関前という舞台で「わたしはシンデレラ・・・」と役に入りきっている。
カミサンが一体どのようにお説教してくれたのかはわからんが、叱られた事すらも三女にとっては全ての芸の肥やし。どんな女優になるか楽しみでもあり心底不安でもある。